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人材会社は自ら襟を正せ

7/1 9:50  オピニオン

 訪問介護最大手コムスンの不正問題が世間を大きく騒がせている。介護事業所の指定を受ける際の虚偽の申請や基準を下回るヘルパーの配置数、介護報酬の不正受給の実態が全国に拡大。事態を重く見た厚労省は、コムスンの事業所の8割に当たる約1600カ所について新たな事業所の指定を認めず、来年4月以降は指定を打ち切るよう都道府県に通知した。

 国民が支払う血税にも等しい介護保険料を食い物にするかのような所業はもちろん、サービスの受け手である多くの高齢者の信頼を裏切ったことはとうてい許されるはずもなく、当然の措置といえるだろう。そして世間の批判も要介護者という弱者をないがしろにした利益優先の商売の姿勢に集中している。
 しかし同社の罪はそれだけではない。グッドウィルグループ(以下=GWG)といえば近年、高・大卒の大量採用企業として知られ、数千人規模の新卒がコムスンをはじめとするグループ企業で働いている。だが、コムスンの労働実態は、厳しい営業ノルマを課される一方、?24時間介護?の謳い文句の裏で過酷な重労働を強いられている事実も報道されている。
 新卒者の中には地方から上京し、社会人としての夢を膨らませながら、介護という仕事に情熱を燃やしていた人も多い。「老老介護」といわれる貧弱な介護の現場を若者が支えていくことは日本の将来にとっても,実にに頼もしい。にもかかわらず新卒という社会的に貴重な人材を預かりながら、彼ら彼女らの希望と夢を踏みにじった企業責任は極めて大きい。すでに社員の流出も始まっている。夢を打ち砕かれた若者の気持ちを考えると暗澹たる思いになる。
 また、GWGは主力事業である人材派遣においても労働基準法違反の疑いで厚労省から追求されようとしている。派遣1回当たり保険料などの名目で賃金から天引きしていた200円は事実上の?ピンハネ?ではないかという疑いを持たれている。
その他にも集合時刻から作業を始めるまでの拘束時間の賃金の不支給や集合開始時刻の遅れに対する減額規定などの事実も報道されている。
 GWG側は200円の天引きは任意であり、強制ではないとしているが、過去2年間に遡って対象者80万人に対して総額37億円を返還することにしている。GWGに限らず日雇い派遣の横行はワーキング・プワ(働く貧困層)を生み出すものとして社会的問題となっている。しかもその働き手の多くは将来ある若者たちである。そうした人たちの少ない賃金からのピンハネが仮に事実だとすれば企業の社会的責任において到底許されるものではない。
 コムスン問題と並んでGWGの経営に共通するのは、若者を犠牲にして利益を追求しようとする姿勢である。?人材?と言いながら実態は?モノ?として使い回すことで利益の最大化を図ることに狂奔しているとしか思えない。「企業は人なり」と言われて久しい。学校教育において一定の知識と教養を身につけ、その後は企業が預かり、社会人としての素養、スキル、技能などの教育を与えることで日本は強固な経済基盤を築いてきた。企業の教育投資では世界一と言われた日本だが、今その根底が揺らいでいる。
 仮にも?人材?を看板に掲げる企業は自ら襟を正すと同時に、?人材を殺す?企業への供給も厳に戒めるべきだ。

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