未経験者生かす挑戦を!
人口減少による労働力不足が日本経済を停滞させるものとして憂慮されている。日本の就業人口は約6400万人だが、少子化の進行で新規就業者は減り続けており、たとえば20?24歳の就業者数は480万人。団塊世代の就業者数の約800万人と比べてもはるかに少ない。
このまま推移すれば日本経済の活力を削いでしまうのは必至と誰しも思うだろう。その結果、政府は少子化対策を声高に叫び、経済界は外国人労働者の積極的受け入れを提言する。もちろんそうした施策も中・長期的対策としては必要だろう。しかし、その前に自らの足下でもっとやるべきことがあるのではないか、という気がしてならない。
深刻な求人難を背景に活況を呈する転職市場の一方で、スキル・経験を持たない市場から疎外される人々が増加している。ニート、フリーターと呼ばれる一群はその象徴であるが、いわゆる?日雇い派遣?と称される人たちや一説に100?150万人といわれる請負労働者もそうである。たとえば請負労働者の平均年齢は約30歳。20代から30代前半の男性が8割を占めるが、業務は組立・加工業務などの「単純工」が多く、時間給は1000?1300円程度。月160時間の労働で16万円、残業代や深夜割増を加えても月に20万円程度にしかならない。
さらに問題なのは軽作業が主であるためにスキルアップが望めず転職が困難という現実である。大手請負業の人事担当役員は「30代になり、結婚し、子供ができると退職して給与の高い仕事に就こうとするが、低いスキルではどこも雇ってもらえず、短い期間で転職・退職を繰り返したあげく、再び単純軽作業で働くケースが多い」と指摘する。スキルを磨きたくても職業ゆえに難しいというのはフリーターや一部の派遣社員にも共通する問題であろう。
そしてこうした転職市場から疎外された人たちを生み出した原因は、いうまでもなくコスト削減効果を絶対視する企業と政府の無策にある。政府・経済界の唱える経済成長路線により景気回復は実現したが、一方で雇用形態による賃金格差だけでなく、人的資源のスキル・能力格差という?社会的負債?も生み出したのである。
これは何も若年層に限らない。改正高年齢者雇用安定法の施行により団塊世代以降の雇用継続義務が企業に生じたが、実態はほとんどが有期雇用契約の非正規社員として雇用され、賃金も現役時代の5?6割の水準にとどまる。なかには法律の趣旨に基づき希望者全員の雇用を約束するが、時給を800円に設定し、あえて再雇用を希望しないようにし向ける企業もある。貴重な労働力資源として高齢者の有効活用が叫ばれるわりには実態はお寒い限りというしかない。
日本の労働力不足を本当に危惧するのであれば、短期的な利益にのみ目を奪われるのではなく、足下に存在する若年層や高齢者の能力開発と活用に真剣に取り組むべきではないかと考える。そして人材ビジネス業界においても、個人のスキル・能力と企業のニーズとの紹介マッチングにとどまらず、職務未経験の若年者、女性、高齢者の能力開発を含めた?懐の深い?ビジネスへのチャレンジも必要ではないか。そのことがひいては人材ビジネスの拡大にもつながると信じる。日本の人材市場を自ら創造していくという気概を期待したい。
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