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問われている”紹介の質”

10/1 14:00  オピニオン

 「人材紹介会社のレベルの低下が著しい」――。キャリア採用に積極的なある企業の採用担当者の証言である。本紙では企業のキャリア採用活動について3カ月にわたり集中的に取材をしてきたが、改めて人材紹介会社の実態が浮き彫りになった。とりわけ批判的な言辞には、業界の発展を願う立場としては頭が痛い思いをしたが、そこは素直に耳を傾けるべきだろうと思う。

冒頭の採用担当者はレベル低下の理由をこう説明する。「ただ、履歴書を送付してくるだけの会社もある。しかも誤字脱字が多く、あるいは女性の候補者なのに性別は男性に○がついていたりする。一世代前のコンサルタントは丁寧な対応をしてくれたが、今はコンサルタントによって質が大きく異なる。とくに最近の若いコンサルタントはしっかり教育されていないのではないか」
 コンサルタントの質の低下は、別の企業の採用担当者からも「玉石混淆。評価の高い人材紹介会社でもコンサルタントの質次第で紹介される人材の質は上下する」という指摘があった。もちろんコンサルタントの質の低下はゆゆしき問題であるが、質の中身を詳しく聞くと会社側の構造的体質も浮き彫りになる。
 ある採用担当者は「今までは一人の候補者に密着して綿密なコンサルティングを行いながら、御社に入りたいから来ましたという気持ちにさせて採用まで結びつけるものだった。しかし今は詳しく話を聞きたいから来てやった、という候補者も少なくない。どこの紹介会社も数をこなさないといけないという面が強く、流れ作業的になっている。それでいてフィーが変わらないことは不満だ」と批判する。
 紹介会社側の姿勢が問われる話である。別の企業の担当者の言う「紹介会社たるもの、クライアント企業のニーズを理解し、基本的なマッチング機能を果たすことができなければ、他の媒体と差別化できない」という指摘が的を射ていると言わざるをえない。
 しかし、企業側も紹介会社を批判しているだけでは優秀な人材は獲得できない。紹介会社やコンサルタントに対し個々に独自のアプローチを展開している。
 IT系企業の採用担当者は「毎日、紹介会社のコンサルタントと欲しい人材に対する理解を深めるディスカッションを地道に続け、1年後には質の高い人材が採れるようになった」と、いかにコンサルタントと企業の密着した関係が重要かを指摘する。また、別のIT系の企業は、30数社の紹介会社のコンサルタントを毎月呼んで候補者に、紹介案件を詳しく知ってもらうための情報を開示すると同時に面接回数を減らすための工夫、候補者の回答を早めにもらうための連絡体制を築いている。さらに「紹介会社の成約ランキングを発表し、一番コミットした紹介会社を表彰してインセンティブを出すなど良い意味での競争意識を持ってもらう活動も行った」(採用担当者)という。
 このことが示唆するのは、優秀な人材を獲得するためにはコンサルタントと企業が信頼関係に立ち、お互いが知恵を絞り、汗を流すことがいかに大切かということだ。
 最後に製薬会社の担当者は紹介会社に対してこう提言する。
「紹介業自体がもっと勉強し、専門性を高めてほしい。その上で密接な関係を築くとともに、企業の人事部に対して『御社であればこういう人材がふさわしい』と提案できるキャンディデイトソーシングまで請け負うことができるエージェントが出てきてほしい。そのためにビジネスモデルの転換が業界に求められている」
 人材紹介業の将来に期待する企業の提言を素直に噛みしめるべきだろう。

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