人材紹介業界の社会的信頼を確立する資格制度の創設を
イーストウエストコンサルティング 代表取締役社長
室松信子氏
転職市場の拡大で人材紹介ビジネスに携わる会社が乱立していく中で、コンサルタントが1つの会社へ長く勤務することなく、いろいろな会社へ渡り歩くということが頻繁に起きています。
転職市場の拡大で人材紹介ビジネスに携わる会社が乱立していく中で、コンサルタントが1つの会社へ長く勤務することなく、いろいろな会社へ渡り歩くということが頻繁に起きています。
人材紹介ビジネスでは、キャンディデートは商品という側面もあり、クライアントはビジネス上とても大切なコンタクト先です。その個人情報は非常に大切なものですが、そうした情報を次の会社へ持ち出す人がでてくるわけです。どのビジネスにも情報の漏洩という問題はありますが、人材紹介ビジネスは個人にかかわるビジネスですから、決して情報を持ち出すようなことがあってはいけません。現状では、そうしたモラルのないコンサルタントが残念ながら少なからず見受けられます。
もう1つは個人情報に対する意識の問題です。個人情報保護法で取り組まれているものの、果たしてどこまで我々のように人材ビジネスに携わっている企業が、きちんと情報の管理を徹底しているのか、教育を施しているのかどうか。紹介事業のライセンスのない会社や数人でもぐりの様に、ゲリラ的に営業している会社は、当然のことですが社内教育などには手が回りません。またライセンスがない会社を取り締まるはずの厚生労働省も、対応が敏速ではない上に、それに対しての報告やフォローも何もなく不安が募っています。そうした会社を放置してしまうと業界全体のモラルやルールが崩れて、社会的信頼が失墜していくのではないでしょうか。
業界が認知されて約20年が経ちます。それ以上に今は社会になくてはならない不可欠なビジネスです。社会から尊敬視されるためにも、何らかの教育を施していかなくてならないと思います。また法令に違反した人でもそのまま続けて同じ業務に携わっていいのかどうか、またそういう人たちをどうやって規制していったらいいのか、いろいろな課題があります。
こうした課題に対して私が提案したいことは、コンサルタントが法令を順守するような資格制度をつくる必要があるのではないかということです。
例えば、前提としてそんなに難しくなくても取れる資格で、日本人のコンサルタントだけではなく、いまは外国からのコンサルタントも日本にも入ってきていますから様々な国の人が資格を取得できるように日本語と英語で受験できるような試験を実施することが望ましいと考えています。特に重要な点は、会社を懲戒免職になるほどの重大な過失や、訴えられて裁判で負けるほどの行為をしたという事実がある場合に、コンサルタントの資格を剥奪するという点です。似たような制度に証券外務員があります。お客様のお金を不正に流用したり、インサイダーに手を染めるなど、悪質なことをしない限りその資格は剥奪されませんが、剥奪された人は証券業界に5年間は勤められないというような決まりがあります。医師、弁護士、公認会計士などの難しい資格もありますが、証券業界での取り組みは比較的参考になるものだと思います。
いま全国に13,000の人材紹介事業にかかわる事業所があって、1事業所に数人のコンサルタントがいたとしても約5万人以上が人材紹介事業に携わっていることになります。これだけ多様な人たちが何の制限もなく法令を無視したビジネスをやり始めたら、はかり知れない業界イメージの失墜が起きることになります。
これまでの様々な企業不祥事への対策や防止策をみると、会社や業界関係者だけではなく、広く外部から有識者を集めて意見を求める場合が多いようです。ですからこのような資格制度や試験の内容は、国や業界団体の日本人材紹介事業協会(人材協)だけで決めるのではなく、国、人材協、公的な機関の他、実際に長くこの業界に携わってきたそれなりの企業規模の代表者、有識者、外国人など様々な立場の人が集まり、基本をどこに置き、どのような制度をつくり、どのような試験内容にしていくのかということを、十分に議論していかなければならないでしょう。
こうした規律あるルールの下に、業界が自主的に、自らを浄化するような仕組みや取り組みがこれからは必要だと思っています。社会に信頼されるような業界の発展を強く願っています。
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