いまこそ法令順守の徹底を
今日ほど人材紹介業が注目されている時はない。いうまでもなくバブル期以上の新卒採用意欲の高まりと並行して第二新卒、キャリアの採用数も拡大し、今や人材紹介ビジネスは企業にとって不可欠な存在となっている。
同時に、ハローワークの市場化テストの動きに象徴されるように、人材紹介業が公的セクターの一翼を担うまでに社会的認知を得つつある。
しかし、社会的注目度が高まれば高まるほど問われるのは、コンプライアンス(法令順守)はもとより、高度な倫理観と社会的使命感である。人材紹介会社の数は年々増加し、今や1万1千社を数える。仮にこの中のメンバーが社会正義に悖る不祥事を起こせば、業界全体が世間の指弾を浴びるのは必至だろう。注目度が高ければ高いほど、その対価として、世間の目が厳しくなり、業界に与える悪影響も倍加する。
たとえば「偽装請負」問題がメディアを通じてクローズアップされ、社会的指弾を浴びたが、実はそれまでは偽装請負自体半ば公然の事実だった。それが突如として問題化されたのは、日本を代表する超有名企業が深く関与していたことに加えて、社会の関心が高まりつつあるワーキングプア(働く貧困層)問題が絡んでいたことと無縁ではないだろう。
業界にも問題がないわけではない。たとえば候補者(キャンディデイト)のレジュメが本人の了解なく企業に出回っているという話もよく耳にする。もし、これが常態化しているとすれば、コンプライアンス上の責任はもとより、情報の秘匿性に最大の価値を置く業界の信用を大きく揺るがすことになりかねない。
さらに、候補者を半ば強制的に求人企業に誘導するなど、売上げ至上主義に走るコンサルタントもいると聞く。あるいは、相談しても真剣に取り合ってもらえないという候補者の声も少なくない。この背景にあるのは?偏ったクライアント志向?である。もちろん直接の利益をもたらす求人企業を大事にするのは当然としても、中・長期的に会社の成長と存続を支えているのは候補者であるという視点を忘れてはならない。
目先の利益に狂奔すると、いずれしっぺ返しを受けるだけでなく、成長途上にある人材紹介ビジネス全体の社会的イメージの失墜につながる。注目されている今こそ業界全体が襟を正し、高い倫理観を持って社会に対する職業的使命感を果たすべき好機であるという自覚を強く望みたい。
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