人材確保・育成を強化 企業競争力の源泉に
| 業績の回復を受けて人材育成システムの再構築に乗り出す企業が相次いでいる。旧来のビジネススタイルが大きく転換し、知識集約型産業の時代に入り、今や人材の確保と育成は企業の競争力の源泉としてこれまでになく重視されつつある。一方、キャリア形成に対する関心も年々高まっている。能力開発を重視する企業の人材育成策を取材した。 |
就職・転職層の個人の側も将来の自己実現を図るためのキャリア形成の指標として企業の人材育成策への関心が高まっている。優れた人材の育成策は企業の成長を促す投資であると同時に優秀な人材を採用するための武器になっている。
森永乳業
森永乳業は05年度に従来の研修プログラムを一新。すべの社員に一律に研修の機会が与えられる集合型プログラムを限定し、学ぶ意欲のある社員や所属部署の推薦を受けた社員を対象とするスペシャリスト育成のプログラムを充実させた。また、06年には年12回の選択研修をスタート。例えばマーケティング、会計、コーチング、ロジカルシンキングなどの講座を用意し、興味と意欲のある社員は誰でも受講できる仕組みに変えた。
新人研修では入社後3年目までに「自律型人財」になることを目指した若手社員育成プログラムを実施している。具体的には入社後の新入社員研修の半年後に配属された部門で行う「部門別新人フォロー研修」。2年目は「考える力」を身につけることを主眼とするプログラムを組み、3年目には自律型人財にどこまで近づいているかを確認する研修を実施する。
オリックス
同社のように最近では入社後3年間を一人前の戦力として養成することを目指す企業が増えている。たとえばオリックスも04年度から新人研修制度を充実。2年次、3年次にもフォローアップ研修を実施し、3年間を通してオリックスグループマンとして一人前の成果が発揮できるプロフェッショナル人材の養成を目指している。
1年目は実践主体の研修とOJTを軸にした育成を図るが、新人の教育係として育成マインドの高い入社3〜5年目の先輩社員を所属長がトレーナーに任命。OJTに当たってはトレーナーと所属長に新人の育成計画書を作成させ、1週間ごとに進捗状況を確認するなど計画的育成を行っている。
さらにグローバル経営人材の育成を目指した選抜型研修にも注力。今後もさらなる教育投資の拡大を予定している。
NTTソフトウエア
若手社員の育成ではNTTソフトウエアも積極的だ。新入社員研修後の職場でのOJTは人材育成能力のある先輩社員が張り付いて指導に当たるが、指導者の選定に当たっては同社の社長自ら一人ひとりをリストでチェックするほどの熱の入れようだ。
さらに同社が最も注力しているのが専門スキルの向上。具体的には経済産業省が定めたITスキル標準(ITSS)をベースに独自のキャリアフレームワークを策定。コンサルタント、ITアーキテクト、プロジェクトマネジメントなどの職種を設定し、職種ごとにスキルレベルを1〜7に分けて、より高いレベルのスキル向上を促すことを目指している。
受講に当たっては、まず社員自身によるスキルアップ計画書を作成し、それをもとに上司が面談し、将来目指すキャリアについて話し合って計画書を完成。計画に沿って受講すべき研修を決定するようにしている。
従来の研修教育は新人、主任、課長といった階層別研修が大部分を占めていたが、近年では個人の成長意欲を前提にした選択型および経営人材の養成を目的とした選抜研修など多様化してきている。その意味ではどういう研修がふさわしいのか試行錯誤の段階でもある。
研修成果が企業の競争力に直結するだけに今後の人材育成システムの再構築は重要な課題となっている。






