〜松下電工〜
専門部署と各地区委員会を設置し、
労使で取り組み推進
照明・情報機器・住宅設備など幅広い事業分野で製造・販売を手掛ける松下電工では、男女性別関係なく、それぞれの多様性を引き出し、発揮していくという企業風土を構築するため、2004年から本格的な女性躍進活動を開始。それと同時に、社長直轄の「女性躍進推進室」を設置した。女性躍進活動に関する社長メッセージを全社員に向け広報するトップダウン型と、各地区29ヵ所に労使共同で組織された「地区女性躍進推進委員会」からのボトムアップ型で、双方向からの推進活動を展開し、女性活用における制度や仕組みづくり、社内意識などの変革に取り組んでいる。
トップダウンとボトムアップの双方向から
女性躍進活動を展開
同委員会では、工場長や営業部長など現場のトップが委員長、労働組合各支部長が副委員長となり、現場から吸い上げた意見を基にした施策を検討する。工場内の問題や当該地区別の問題についてディスカッションし、解決策を練り上げている。例えば、女子社員の制服の着用自由化やお茶汲み当番の排除など、身近な問題から解決している。この取り組みは、各地区での意見交流の貴重な機会となっている。全社で取り組むべき問題は本社へ移管し、同推進室が中心となり施策を講じる。
同社では、7月を「女性躍進月間」と定め、全地区が一同に介した女性躍進フォーラムなどを開催。「多様な働き方を促進し、多様な人材が活躍する職場作りを徹底し、社員一人一人の『個性』『長所』『能力』を基準に適材適所を進めていきたい」と、社長自らダイバーシティマネジメントの重要性を強調している。
これを受け、出産後や育児期間中でも働き続けられるように、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みを強化。具体的には、06年4月、育児や介護のための短時間勤務と自由に出退社時間が設定できるフレキシブル勤務を合わせた「短時間フレキシブル勤務制度」を導入した。同制度の利用率は高く、105人以上の利用実績がある。そのほとんどはワーキングマザーで、子供の急病や保育園の迎えなどに活用している。また、育児・介護休業期間中に業務の一部を自宅で行う「部分在宅みなし勤務制度」や、出産・育児・介護などで退職した社員のうち本人が希望し、適性がある場合、退職後の一定期間内に正社員として迎える「再雇用支援制度」なども導入。他にも、半日勤務制度やカフェテリアポイントの使用による月額最高2万円までの保育施設費用補助など、様々な制度で働きやすい職場作りに努めている。
同社は男女雇用機会均等法の施行時から、法に対応した制度整備や女性躍進活動に取り組んできた。その一つとしてポジティブアクションガイドブックを02年に発行した。「女性のやる気を引き出すコツ」について説明し、全役職者に対し同内容の研修でも周知を徹底した。現在は社内HPにて全社員にも公開している。また、各種相談窓口の充実として、健康相談、法律相談以外に、1999年に女性相談窓口、2005年にキャリア相談窓口を設置した。さらに、一連の取り組み内容周知や制度普及のため、特別広報誌を年間で3冊発行。社長メッセージや風土変革のPR、各制度紹介、一般職から総合職への職掌変更体験談や女性社員へのインタビューなどが掲載されている。
その後、同推進室は06年1月に「松下電工・女性躍進活動計画」を発表。女性のポストと職域の拡大に向け、2010年までに新卒総合職の女性採用比率を06年の21%から40%に、主任以上の女性役職者を8%から15%に引き上げる方針を固めている。
同社の新卒採用人数は毎年約150人から160人。そのうち07年4月入社の実績では全体の約2割を女性が占めた。08年4月入社予定の女性社員は約3割にあたる46人となっている。目標達成に向けて年々女性社員比率は増加しており、取り組みの成果を上げている。将来的には継続的に男女比率を6:4で採用したい考えだ。
09年度新卒者の女性社員の割合は35%を目標にしているが、「弊社の女性躍進活動に対する学生への周知は不十分だ。新卒向けの就職セミナーなどで広く周知していきたい。また、採用が困難な技術系社員の採用強化のため、技術系学生向けの就職セミナーでも女性が働きやすい環境作りについてPRをしていく」と同社佐久間均女性躍進推進室部長は話す。また、女性採用強化の一環として、04年から総合職採用とは別に女性営業・販売職31人を新卒として採用した。そのうち現在までで退職者はわずか3人。1年間チューターとして役職者、先輩社員を配置し、スキルアップ支援や相談窓口として機能させることで退職抑止に成果を上げている。
「ショウルーム」に女性責任者を配置し
女性ならではの観点を重視
このほか、全国69ヵ所の営業所に隣接する同社「ショウルーム」のうち、34ヵ所で女性責任者を登用した。住宅商材などは概ね女性が意思決定者であることに加え、「ショウルーム」の来場者の約7割が女性であることから、消費者の目線により近い女性の感性を重視した商材販売に注力している。
今後の課題として、「女性管理職の比率を上げていきたい」と佐久間氏は話す。同社の女性社員の割合は全社員の約2割にあたる2800人。そのうち、322人が業務内容の自主企画および自主運営を担う企画判断職だ。「企画判断職に就く者が管理職候補となるため、積極的な女性採用活動を継続し、候補者増加に期待したい」(佐久間氏)。また、既存の一般職社員を総合職へと職掌変更を促す取り組みも実施している。
同社では、キャリアアップ支援のために1・1・2面接制度という目標設定・目標達成の計画作りの機会を設けている。上司と部下が1対1で年2回面談するもので、自身のキャリア設計のために仕事の満足度、部署変更、役職希望などをチェックする項目をまとめたキャリア開発シートを用意。その中で、職種変更の申請も可能だ。職掌変更試験に合格するか、不合格でも、総合職に求められるプレゼンスキル、創造性の開発、クリティカルシンキングなどに対応した研修プログラムの中から3つを受講すれば、総合職への職掌変更資格が取得できる。05年度は8人が職掌変更しており、一般職から総合職への切替促進の取り組みとして実績を上げている。







